ライザップと聞くと、「劇的ビフォーアフター」の成功物語を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし企業としての歴史を振り返ると、2010年代後半のM&A戦略の失敗が大きな教訓として残っています。
一時期、ライザップは「第二のソフトバンク」と呼ばれるほど積極的な買収を進め、アパレルから介護、出版まで多角化を図りました。
ところが、その多くがグループとしてのシナジーを生み出せず、赤字子会社の整理・売却に追われる結果となりました。
では、ライザップはその過去を克服できるのでしょうか。
最近の動きを見ると、明らかに「選択と集中」へ舵を切っていることが分かります。
チョコザップを中核に据え、無人・定額制・健康関連サービスにリソースを集中。
この「シンプルな事業モデルへの回帰」が、過去の反省を踏まえた再出発だといえます。
M&Aで一度失敗した企業が再び信頼を得るには、利益よりも持続性を重視する経営姿勢が欠かせません。
チョコザップの急成長は確かに勢いがありますが、今後は「拡大より安定」をどう実現するかが鍵になるでしょう。
かつてのライザップが“やりすぎた多角化”で失った信頼を、
今度は“やりすぎない集中戦略”で取り戻せるか――。
その成否が、日本のフィットネス業界の未来にも影響を与えることになりそうです。

